Dr.NARI
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武道館 コレクションNo.1
「体臭の中近東」(Dr.NARI)
ボクはかつて武道館でライブをやったことがある。しかも高校生の時にだ。
でもあの日本武道館ではない。ボクの通ってた高校には、剣道場と柔道場が一緒になった
恐ろしく古くてボロボロの木造の建物があり、そこの名前が「武道館」だったのだ。
学園祭でバンドをやろうと実行委員会に申し出たところ、会場としてあてがわれたのがココだった。
なにせバンドは音がでかい。普通の教室だと周りが迷惑する!ということで、校庭のはずれに
ひっそりと建つこの「武道館」が会場となったわけだ。周りを気にせず思いっきり音を出せるのは
良いのだが、ステージは柔道場の畳を積み重ねて作ったものだし、音楽室からエレクトーンを
運んだり、バンドメンバーの叔父さんが経営するカラオケスナックから、かなりくたびれた
ドラムセットを借りてリヤカーで運び込んだりと、結構苦労して準備したものだ。
そしてライブ当日、お客もソコソコ入り演奏スタート。僕らのバンドのレパートリーは
エマーソン・レイク&パーマーの「聖地エルサレム」やらサンタナの「哀愁のヨーロッパ」など
当時流行っていた曲のコピーだった。「哀愁のヨーロッパ」ではボクのリードギターが火を噴き、
泣きのフレーズがバッチリ決まった!・・・つもりだった。まあでも所詮は高校生だし、
ミストーンのひとつやふたつは出したけれども、自分としては精一杯やったし、
まずまず満足の演奏ができたつもりでいた。ところがステージを降りた直後、
ある同級生が笑いながら近寄ってきて言い放ったヒトコトをボクは一生忘れない。
「オマエの演奏は“哀愁のヨーロッパ”っていうより“体臭の中近東”って感じだったな〜」
ゲッ!そ、そんなに臭かったのか〜ボクの演奏は!・・・薫り高き青春の日の思い出である。
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